井戸水ポンプから水が出ない|原因と対処方法、修理交換の相場

井戸水ポンプから水が出ない|原因と対処方法、修理交換の相場
井戸水を利用していると、「蛇口を開いても水が出ない」「ポンプは動いているのに水が上がらない」といったトラブルが起きることがあります。
井戸水ポンプから水が出なくなる原因はさまざまですが、呼び水切れや配管への空気混入、目詰まりなど比較的軽微な原因から、ポンプ本体の故障や地下水位の低下といった専門的な対応が必要なケースまであります。
原因によって対処方法が異なるため、まずは症状を確認しながら原因を特定することが重要です。
この記事では、井戸水ポンプで水が出ない主な原因、自分でできる確認方法や対処法、修理や交換が必要になるケースについて詳しく解説します。
井戸水ポンプで水が出ない主な原因
呼び水の消失・不足
井戸ポンプで水が出なくなる原因として特に多いのが、呼び水の不足や消失です。
呼び水とは、ポンプや吸込管の内部にあらかじめ溜めておく水のことです。ポンプは内部が水で満たされていることで真空状態を作り出し、地下の水を吸い上げています。
何らかの原因で呼び水が抜けてしまうと、ポンプは空気ばかりを吸い込む状態になります。空気では十分な吸引力を生み出せないため、モーターが動いていても水をくみ上げることができません。
特に長期間使用していなかった場合や、配管から空気が入り込んでいる場合に発生しやすいトラブルです。
ポンプは動いているのに水が出ない場合は、まず呼び水切れを疑いましょう。
呼び水切れの主な症状は、以下のとおりです。
- モーターは動いている
- ポンプから空回りのような音がする
- 水がまったく出ない
- 長期間使用していなかった
配管への空気混入
配管のどこかから空気が入り込んでいる場合も、水が出なくなる原因になります。
井戸ポンプは配管内を真空に近い状態にすることで地下水を吸い上げています。しかし、配管の接続部などから空気が侵入すると真空状態を維持できなくなり、水を正常に吸い上げられなくなります。
これは、穴の開いたストローで飲み物を吸おうとしても吸い上げられないのと同じ原理です。わずかな隙間でも空気が入り込むと、ポンプの吸引力は大きく低下してしまいます。
原因としては、フランジ接続部の緩みやパッキンの劣化、継手部分の不具合、シールテープの劣化などが挙げられます。設置から年数が経過しているポンプでは特に発生しやすい症状です。
砂こし器やストレーナーの目詰まり
井戸水には砂や泥、鉄分などの不純物が含まれています。
ポンプには砂こし器やストレーナーと呼ばれるろ過装置が設置されており、不純物が内部に入り込まないようになっています。
しかし、長年使用しているとフィルター部分に汚れが蓄積し、水の通り道が狭くなってしまいます。軽度であれば水量が減る程度ですが、症状が進行するとほとんど水が出なくなったり、完全に止まったりすることもあります。
ポンプ自体は正常に動いているのに水の勢いが弱くなっている場合は、目詰まりを疑いましょう。
井戸水ポンプで水が出ないとき、目詰まりが疑われる症状には以下が挙げられます。
- 水の勢いが弱くなった
- 徐々に水量が減ってきた
- ポンプは正常に動いている
地下水位の低下
ポンプや配管に異常がなくても、地下水位の低下によって水が出なくなることがあります。
地下水位とは、井戸の中にある地下水の高さのことです。雨が少ない時期や長期間の渇水、冬場の乾燥した時期などは井戸の底にある「地下水そのものの量」が減りやすくなるのです。
また、周辺地域で地下水の利用が増えたり、大規模な工事によって地下水の流れが変化したりすることも原因になります。
地下水位が下がりすぎると、井戸の吸込口が水面から出てしまい、水ではなく空気を吸い込む状態になります。特に深さ約8m以内の浅井戸は環境影響を受けやすく、季節によって急に水が出なくなるケースも少なくありません。
夏場は問題なかったのに冬になると急に水が出なくなる、といったトラブルは、水位低下の典型例と言えるでしょう。
次のような時期では、地下水位が低下しやすくなります。
- 雨が少ない時期
- 長期間の渇水
- 冬場の乾燥時期
- 周辺で地下水利用が増えた場合
配管やポンプの凍結
冬場に発生しやすいトラブルが、配管やポンプ内部の凍結です。
気温が氷点下になると、配管やポンプ内部に残っている水が凍り、水の流れを完全に塞いでしまいます。その結果、蛇口を開いても水が出なくなります。
凍結した状態で無理にポンプを運転し続けると、モーターに大きな負荷がかかります。さらに、凍った水は膨張するため、配管やポンプ本体が破損する恐れもあります。
寒い朝に突然水が出なくなった場合は、まず凍結していないか確認しましょう。
ポンプ本体の経年劣化
井戸ポンプの寿命は一般的に10〜15年程度とされています。
長年使用していると、内部の部品が少しずつ摩耗し、水を吸い上げる能力が低下していきます。特にインペラー(羽根車)は常に水や砂にさらされているため、劣化しやすい部品のひとつです。
インペラーを包むケーシングと呼ばれる空間も、砂を含んだ井戸水に晒され続けることで少しずつ削れ、隙間が広がっていきます。隙間が広がると、高速で回転しても効率よく水を押し出すことができなくなり、吸い上げ能力が著しく低下します。
また、モーターやコンデンサ、圧力スイッチなどの電気部品も経年劣化によって故障することがあります。
使用年数が長いポンプでは、ひとつの部品だけでなく複数の部品が同時に劣化しているケースも少なくありません。そのため、修理よりも本体交換が適している場合もあります。
以下はm井戸水ポンプの経年劣化が疑われる症状の例です。
- 使用年数が10年以上
- 異音がする
- 水量が不安定
- 頻繁に停止する
- 修理しても不具合を繰り返す
症状から原因を見分ける方法
井戸水ポンプで水が出なくなった場合でも、症状によって考えられる原因は異なります。
「ポンプは動いているのか」「水の勢いはどう変化したのか」などを確認することで、原因をある程度絞り込むことができます。業者へ相談する際も、症状を詳しく伝えることでスムーズな点検や修理につながります。
ポンプは動くのに水が出ない
ポンプのモーター音は聞こえるのに水が出ない場合は、呼び水切れや配管への空気混入が疑われます。
この状態ではモーター自体は正常に動作していますが、水を吸い上げるために必要な真空状態を作れなくなっている可能性があります。
主な原因としては、ポンプ内部の呼び水が抜けて空回りしているケースや、配管の接続部から空気が侵入しているケースが考えられます。また、地下水位が大きく低下し、吸込口が水面より上に出てしまっている場合も同様の症状が発生します。
まずはポンプ内部に呼び水が入っているか確認し、その後に配管の接続部や継手部分に異常がないか点検してみましょう。
水の勢いが弱くなった
以前より水の勢いが弱くなったり、水が出たり止まったりする場合は、目詰まりや地下水位の低下が疑われます。
この症状は突然発生するのではなく、数週間から数か月かけて徐々に悪化することが多いのが特徴です。
砂こし器やストレーナーに砂やゴミが蓄積すると、水の通り道が狭くなり、水量が少なくなります。また、地下水位が下がっている場合は、水と空気を交互に吸い込むことで水量が不安定になることがあります。
さらに、ポンプ内部のインペラーが摩耗している場合も、十分な圧力をかけられなくなり、水の勢いが弱くなることがあります。
まずは砂こし器やストレーナーを確認し、汚れが溜まっている場合は清掃を行いましょう。
急にまったく出なくなった
前日まで問題なく使用できていたのに、突然まったく水が出なくなった場合は、ポンプ本体や電気系統のトラブルが考えられます。
冬場であれば、配管やポンプ内部の凍結によって水の流れが完全に止まっている可能性があります。
また、圧力スイッチや制御基板などの電装部品が故障すると、ポンプに電気が供給されなくなり、まったく作動しなくなることがあります。
モーターから異音がする場合は、モーターの焼き付きや内部故障が発生している可能性もあります。
落雷や漏電ブレーカーの作動によってポンプへの電源供給が停止しているケースもあるため、ブレーカーの状態も確認してみましょう。
井戸水ポンプで水が出ない 自分でできる対処法
井戸水ポンプから水が出なくなった場合でも、原因によっては自分で対処できることがあります。
ただし、無理な分解は故障を悪化させる恐れがあるため、まずは簡単に確認できるポイントから点検していきましょう。
ポンプ周辺に水漏れがないか確認する
まずはポンプや配管周辺に水漏れがないか確認しましょう。
点検する際は、必ずポンプの電源プラグを抜いて安全な状態にしてください。
電源を切ったら、まず配管の接続部分に水滴や湿り気がないか確認してください。
配管の接続部やフランジ部分から水が漏れていると、同時に空気も侵入しやすくなります。その結果、ポンプが十分な吸引力を発揮できず、水を吸い上げられなくなることがあります。
また、ボルトの緩みやパッキンの劣化、継手部分のシールテープの傷みなどもチェックしましょう。明らかな水漏れが見つかった場合は、部品交換や修理が必要になることがあります。
蛇口やバルブの状態も確認して、ポンプから先の吐出側配管にあるバルブが、何かの拍子に閉まっていないかも念のため確認してください。
呼び水の量を確認する
ポンプは内部や吸込管が水で満たされていることで正常に作動します。
呼び水が不足すると空気ばかりを吸い込む状態になり、水をくみ上げることができなくなります。
特に長期間使用していなかった場合や停電後は、呼び水が抜けていることがあります。
呼び水切れが疑われる場合は、取扱説明書を確認しながら呼び水口から水を補充してみましょう。呼び水を補充することで正常に復旧するケースもあります。
砂こし器やストレーナーの詰まりを確認する
井戸水に含まれる砂や不純物は、長年の使用によって砂こし器やストレーナーに蓄積します。
目詰まりが進行すると吸水量が低下し、水量不足や水が出ない原因になります。
ポンプは正常に動いているのに水量が少ない場合は、砂こし器やストレーナーを取り外して確認してみましょう。
汚れが付着している場合は清掃を行うことで改善することがあります。
冬場は凍結の有無を確認する
気温が氷点下になると、配管やポンプ内部の水が凍結してしまうことがあります。
凍結すると水の流れが完全に止まるため、蛇口を開いても水が出なくなります。
凍結している場合は自然に解けるのを待つか、ぬるま湯を使ってゆっくり温めるようにしましょう。
なお、熱湯をかけると急激な温度変化によって配管やポンプが破損する恐れがあるため避けてください。
また、無理にポンプを運転し続けるとモーター故障につながる可能性があるため、凍結が解消されるまでは使用を控えることをおすすめします。
修理や交換が必要なケース
呼び水の補充やフィルターの清掃を行っても改善しない場合は、ポンプ本体や配管に不具合が発生している可能性があります。
特にポンプ内部の故障は専門知識や専用工具が必要になるため、無理に分解せず専門業者へ相談することをおすすめします。
次のような症状が見られる場合は、修理や交換を検討しましょう。
- 呼び水を入れても改善しない
- 配管内部で空気漏れが発生している
- ポンプから異音がする
- モーターが動かない
- インペラーが破損している
- 使用年数が10年以上経過している
修理(部品交換)で十分に対応できるケース
設置からそれほど年数が経過しておらず、故障箇所が限定されている場合は、部品交換による修理で対応できることがあります。
例えば、圧力スイッチの不具合でポンプのオン・オフ切り替えが正常に行えない場合は、部品交換のみで改善するケースがあります。また、配管接続部のパッキン劣化やフランジ部分の緩みが原因で空気漏れが発生している場合も、消耗部品の交換や締め直しによって復旧できる可能性があります。
さらに、呼び水プラグの破損によって空気を吸い込んでいる場合は、プラグのみを交換することで症状が改善することもあります。
設置から5年程度の比較的新しいポンプであれば、本体交換ではなく修理のほうが費用を抑えられることが多いでしょう。
本体ごとの全交換(買い替え)を推奨するケース
ポンプの使用年数が長い場合や、重要な部品が故障している場合は、本体交換を検討したほうがよいケースがあります。
設置から10年以上経過しているポンプは、ひとつの故障を修理しても別の部品が次々と寿命を迎える可能性があります。そのため、修理を繰り返すよりも新しいポンプへ交換したほうが、長期的な費用を抑えられることがあります。
また、古い機種ではメーカーの部品保有期間が終了しており、交換部品が入手できないこともあります。この場合は修理自体ができず、本体交換が必要になります。
モーターの焼き付きや重大な内部故障が発生している場合は、修理費用が高額になる傾向があります。修理費が新品ポンプの購入費用に近づくケースもあるため、交換したほうが経済的な場合も少なくありません。
使用年数が10年以上で異音や不具合が頻発している場合は、一度専門業者に点検を依頼し、修理と交換のどちらが適しているか相談するとよいでしょう。
井戸ポンプの修理費用・交換費用の目安
井戸ポンプの修理費用は、故障内容によって異なりますが、一般的には8千~7万円程度が目安です。呼び水切れや軽微な部品交換であれば比較的安価に修理できますが、モーターや内部部品の故障では費用が高くなることがあります。
ポンプ本体を交換する場合、浅井戸ポンプは工事費込みで10万~25万円程度、深井戸ポンプは20万円~50万円以上が目安です。深井戸ポンプは配管工事やジェット部品の交換が必要になることがあり、費用が高額になる傾向があります。
また、古いポンプの撤去・処分費用が別途かかる場合もあります。使用年数が10年以上経過している場合は、修理を繰り返すよりも本体交換のほうが結果的に費用を抑えられるケースもあるため、業者に相談しながら判断するとよいでしょう。
まとめ
井戸水ポンプで水が出ない原因には、呼び水切れ、空気混入、砂こし器の目詰まり、地下水位の低下、凍結、ポンプ本体の劣化などがあります。
ポンプが動いているのに水が出ない場合は呼び水切れや空気混入、水量が徐々に減っている場合は目詰まりや地下水位低下が疑われます。
まずはポンプ周辺の水漏れや呼び水、フィルターの状態を確認し、自分で対応できる範囲の点検を行いましょう。
ただし、ポンプ本体の故障や経年劣化が原因の場合は専門的な修理が必要になります。特に10年以上使用している井戸ポンプは交換時期に入っている可能性があるため、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
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